Voice.01
「これ、できます」が増えていく。
考えながら手を動かす、金型づくりの現場で。
INDEX
機械系の専門学校で金型を学び、新卒で入社したM.Y.さん。配属先は、那須事業所の金型製作課。マシニング(機械加工)を担当しながら、いまは新しい機械にも手を伸ばしています。「難しい課題を、自分で考えて解いていくのが面白い」と語るM.Y.さんに、入社のきっかけから日々の仕事、現場の雰囲気、そしてこれからのことまでを聞きました。
学校で出会った金型の世界。工場見学で芽生えた「ここで働きたい」
もともと、機械系の専門学校に通っていて、そのなかでも金型を専攻していました。だから仕事を探すときも、自然と「学んだことを活かせる現場」を探していたんだと思います。当社の仕事は、学校で扱っていた内容とも近くて、「これならイメージも湧くし、面白そうだ」と素直に思えたのが、最初のきっかけでした。
就職活動では、いくつかの工場を見学しました。決め手になったのは、初めてここに足を運んだときの印象です。正直、「工場」と聞いて思い浮かべていたのは、同じ機械がずらりと並んで、みんなが同じ作業を黙々とこなしているような光景でした。でも、ここは違ったんです。多種多様な機械が置かれていて、それぞれの担当者が、まるでその機械のプロフェッショナルとして独立して働いている。「職人が集まっている場所だ」と感じて、強く惹かれました。
もうひとつ、背中を押してくれたものがあります。学校に何度も足を運んでくれていた人事の社員の方がいて、「知っている人がいる」という安心感がありました。会社の中に顔見知りがいるというだけで、「やってみよう」「ここで働くことを決めよう」と思えました。
まずは全部署を1ヶ月。ものづくりの「流れ」を体で覚える
入社して最初の1ヶ月は、研修にあてられました。といっても、座学で話を聞くだけ……だと思っていたら、まったく違ったんです。プレス製造課、品質保証課の検査、成形、工具切りほか全部署を、1週間ずつ実際に回っていく。「じゃあ、これやってみよう」と、どの部署でも本物の作業を任せてもらえました。「もしかして、ここに配属なのかな?」と思うくらい、しっかり教えてもらえたのを覚えています。
あとから分かったのですが、これは「工場全体の流れを理解したうえで配属を決める」ための仕組みなんですね。新卒だと、最初は自分でも向き不向きが分からない。一通り全部を見せてもらえたからこそ、納得して現場に入ることができました。
配属後は、担当の先輩がついて、現場でじっくり教えてくれます。分厚いマニュアルがあって、その通りに進める、という研修ではありません。職人さんが手に教えるような、つきっきりの指導。一通り一人でできるようになるまでは、半年ほどかかりました。覚えることは本当に多いのですが、その分、身についたときの手応えも大きいんです。
「これ、できます」が、一つずつ増えていく
いまはマシニングという機械加工を担当しています。3Dモデルをつくり、その形状どおりに金型のパーツを削り出していく仕事です。同じ作業の繰り返しではありません。図面によって、完成までの工程も、使う機械も変わる。「これはどの機械でやるのがいいんだろう」と、いつも考えながら手を動かしています。
一通りできるようになったと思っても、見たことのない図面が来ると、また壁にぶつかります。「これ、どうやって加工するんだろう」と、そんなときは先輩に聞いて、試して、また考えて、そうやって少しずつ、対応できる範囲を広げてきました。だからこそ、前は手こずった加工に対して「これ、できます」と言えた瞬間は、本当にうれしい。新人のころは周りも心配してくれて、「できる?」とよく確認してくれたのですが、「やったことあるので大丈夫です」と返せたときの誇らしさは、今でも覚えています。
いちばん大変だったのは、初めて一人で、まるごと設計を任された成形パーツです。形状が複雑で、3Dモデルを考えるだけでも1週間以上。先輩に引き継ぎで教わりながら、ゆっくりでも、どうにかやり遂げました。加工が終わって、実物を手に取った瞬間の「ああ……!」という感覚。自分で考えた工程で、無事にものが出来上がる。あれが、この仕事のいちばんの醍醐味だと思います。
最近は、本来の担当であるマシニングに加えて、放電加工という別の機械も教わっています。手が空いたときに「何かやることありますか」と聞いたら、「せっかくだし、やってみたら」と任せてもらえて。忙しいときに「簡単なものなら対応できますよ」と言える、そんな二刀流を目指しています。手を挙げれば、新しいことに挑戦させてもらえる。それも、この現場の面白さです。
怒られたことは、一度もない。年中25度のクリーンな現場で
現場は15〜20人弱のチームです。雰囲気は、とてもラフ。手が空いているときは雑談も多くて、仲がいいんです。失敗しても、頭ごなしに怒られることはありません。間違えてしまっても「気をつけてね」で終わる。実は、入社してから一度も怒られたことがないんです。「職人」という言葉から、頑固で口数が少なくて……というイメージを持つ人もいるかもしれませんが、ここはまったく逆。みんな、本当に優しいんです。
正直に言うと、入社して「思っていたのと違った」こともあります。良い意味では、この優しさ。これは派遣で入った方も口をそろえて言うほどです。一方で戸惑ったのは、決まったマニュアルがなく、人によってやり方が違うこと。最初は「どれが正解なんだろう」と迷いました。でも裏を返せば、それは一人ひとりが試行錯誤している証でもある。自分に合ったやり方を選べる、という良さなんだと、今では思っています。
環境面も、イメージとはずいぶん違いました。現場はエアコンで年中25度に保たれた、クリーンな空間です。「工場=汚い・暑い」ではまったくない。私は寒がりなので、真夏でも長袖を着ているくらいなんですよ(笑)。安全対策も、うるさいくらいにきちんと徹底しています。油を扱うので手は汚れますが、薬品を使うときは手袋をするなど、きちんと配慮されています。
働き方は土日休みで、日勤と夜勤を1週間ごとに交代しています。最近、夜勤が始まって生活リズムは少し変わりましたが、切り替えに気をつけながら、自由にやれています。私は思いきって一度しっかり寝てリセットする派。家族との時間もきちんと取れていますよ。
休日のことと、これから入社する人へ
休日は、家族と過ごすことが多いです。仲がいいので、誰かと買い物に行ったり、食事に出かけたり。土日はほぼアウトレットにいるかもしれません(笑)。フードコートのハンバーガーがお気に入りなんです。会社のある那須は観光地も近いので、おしゃれなランチに足をのばすのもおすすめです。
この仕事に向いているのは、問題を解くのが好きな人だと思います。淡々と作業をこなすというより、「この課題、どうやろう」と考えられる人。仕事のほとんどは、考えながら手を動かす時間ですから。逆に、ずっと同じ単純作業だけをしていたい人には、少し物足りないかもしれません。
それから、これはぜひ伝えたいこと。「現場=汚い、うるさい、女性には向かない」、そんな先入観で、自分の可能性を狭めてほしくないんです。ここは精密な製品を扱う、クリーンな現場。私自身がそうだったように、来てみて初めて分かることがたくさんあります。だから、迷っている人には、まず一度見に来てほしい。優しい仲間と一緒に、考えながらものづくりができる場所です。心から歓迎しますので、ぜひ。